不合格にならない高校入試 その3
目次
昨日の続きです。昨日の記事はこちら
具体的な勉強法
昨日までの記事に書いた「私立高校の入試問題」と「公立高校の入試問題」の違いを踏まえた上で「具体的勉強法」と「不合格にならない勉強法」について考えていきましょう。
① まずは志望校の決定
最初にすべきことは、およそで結構ですので、「どのレベルの学校を目指すのかをハッキリさせる」ということです。まずは、志望校をハッキリさせましょう。それによって勉強の方針は変わってきます。
②「何を」「いつまでに」「どれだけするか」を決める
次にやるべきことは「何を」「いつまでに」「どれだけ」するのかを決めることです。先程も書きましたが、受験勉強で大切なことは大きく分けて2つあります。1つは、「中3生の内容を学び」ながら、「中1・中2の復習」をしなければならないことです。
ですから闇雲にやっても成果はありません。
まずは、志望校が決まったら、その志望校に必要なレベルの問題集を「いつまでに」「どれだけやるか」を決めて取り組んでいってください。1年間のだいたいの計画は以下のようになります。
1年間の学習計画
〈1〉「何を?」をするのか?
正直に言いますと、「何をするのか?」と問題集を考えたときに、数学・英語については、書店でも受験勉強用のテキストは売られています。しかし、やはり「塾用」の問題集の質と量には、とてもではないですが、かないません。
これは、私が塾をやっていたからではなく、塾講師をするようになってはじめて知りました。できれば、塾用の問題集をご使用ください。近所の塾に出かけて「受験用の塾用教材が欲しい」と伝えれば入手できる
はずです。
個人的には、富永賢宏氏の冨永教育経営研究所が販売しているミラクルロード という教材がベストだとは思いますが、塾用教材のアイワークでもマイクリアでも何でもいいと思います。
日本で唯一の特許教材ミラクルロード
〈2〉いつまでにするのか?
人によって、それぞれペースが異なりますので、全員が「以下に挙げるペースで大丈夫」というわけではありません。あくまで大まかな計画です。
公立高校の場合、募集定員が厳格に決められています。受験は競争なので、少なくともライバルたちに勝ち抜くために、綿密な計画を立てて実行していく必要があります。1年間で考えるとおおよその計画は次のようになります。
以下は、受験勉強を中3の4月からスタートした場合です。
・ 4月から7月の夏休み前まで(主要3科目基礎確立期)
この時期には、主に「横型科目」である「数学」「英語」を中心に勉強します。特に横型科目を中心にするのは、「社会」「理科」といった縦型科目と違って成績をアップさせるのにかなり時間がかかるからです。
この時期に何とか英語・数学の芽を出すことが出来れば2学期からの成績アップにつなげることが出来ます。理科・社会もサラッとで構わないので、一通り学習して「どの単元は自分で学習できて、どの単元は教えてもらわないと進められないのか」を明確にしておきましょう。
・ 夏休み(苦手科目・苦手分野克服期)
夏休みは、基礎確立期で出来なかった分野を集中的に克服します。また、前期で出来なかった分野、自分自身が苦手なところを、この時期につぶしてしまいます。
夏休みは「受験の天王山」と言われますが、一般的な夏期講習に参加して無駄に時間を過ごしてはいけません。というのは受験勉強をしていくと当然、各個人によって「得意分野」「苦手分野」が分かれてきますから、「苦手分野」や「出来ていない単元」を集中して行うべきです。
特に国語・数学・英語という科目は、夏休みにしっかりと基礎をつけていかないと後半大変なことになりますので注意してください。
・ 9月から12月(発展期)
この時期になると、偏差値の高い学校に行く子どもたちはほとんど勉強の時間数を増やし、成績アップを計ってきます。また、後半になればなるほど、勉強しても偏差値が上がらないということがあります。
それは、マラソンと同じで自分自身がいくら一生懸命走っても、周りの人が同じように走ると差が開かないように、勉強もこの時期になると、ライバルたちも必死で勉強するようになり、得点は上がっても偏差値は上がりにくくなってきます。
・ 冬休み(総復習期&私立過去問演習期)
冬休みは、1月に入るとほとんど入試対策に追われるので、その前に1通りのチェックをしておきたいですね。
出来ていない分野があれば、この冬休みの時期に集中してつぶしておきましょう。また、冬休みの総点検で弱いところが見つかれば、そこも再度、問題量をこなしてつぶしておきましょう。
・ 1月(滑り止め私立入試対策+公立前期対策期)
1月に入ると、私立高校の入試が始まります。私立高校も学校によって、独特の問題がありますので、12 月上旬頃から過去問を解いて、その対策を十分にしておきましょう。
・ 受験直前対策
私が、以前に公立高校の先生にこんな質問をしたことがあります。それは、受験勉強に対する本質的な事と思うのですが、
「受験生が公立高校に合格するには、どのような勉強をすればいいのですか?」
「そうですね。公立高校ですから、教科書を逸脱した問題を出すことはありません。それほど難しい問題は出題されないので、(得点を)落とさない勉強をしてください。」
本当にそうですね。私立でもある一定のレベルの学校まではそうなのですが、公立高校の場合は、特にその傾向が強いといえます。
具体的にいうと、例えば偏差値55の生徒だと、「自分のレベル以下の問題だけを解答するだけで合格する」ということがわかっています。
大切なので、もう一度いいますね。
「自分のレベル以下の問題だけを解答するだけで合格する」のです。
それは、「出来る問題をしっかりと、得点に結び付けていく」ということです。これを図に表しますと、次のようになります。
入試問題を見てみると、最初から解く必要のない難易度の高い問題が多くあります。
つまり、公立高校は、「自分の受験校の偏差値に合わせて、それより難易度の低い問題を解けばよい。」ということになります。裏返せば、「最初から解かなくてもよい問題が存在する」ということです。ここがポイントです。
入試直前の受験生は、「わからない問題」を解こうと一生懸命になっています。
しかし、大切なことは、「わからない問題をやるのではなく、わかっているが出来ていない問題を解く。」ことが重要なのです。何度も言いますが、「わからない問題をやるのではなく、わかっているが出来なかった問題を解く」のです。
例えば、高校入試の過去問を解いているときにわからない問題で、「中2の連立方程式がわからない。」と生徒がよく聞いてきます。(正確に言うと「連立方程式の文章題」ですが、こういう表現をするお子さんが多い。)
普通の塾の先生であれば、「そうか、どれどれ…。」と言って、教えてあげるのが一般的ですよね。ですが、私はそれをすぐには教えません。その前に連立方程式の計算を何問かやってみてもらい、確実に連立方程式の計算問題を解ける生徒だけにしか教えません。
お子さんの言うとおりに、連立方程式の文章題を指導していたら決して成績はすぐには上がらないからです。
連立方程式の計算なら、連立方程式の計算をマスター→→→すぐに得点
しかし、連立方程式の文章題なら、
STEP1
連立方程式の計算を理解
連立方程式の計算のマスター
さらに、
STEP2
小学校で学習する「速さ」「割合」などの理解
さらに
STEP3
連立方程式の文章題の問題文の理解
問題を解くために連立方程式の立式
結果、ようやく得点になる。
という3段階になってしまうのです。
もちろん、連立方程式の計算ができている生徒は、すぐに文章題をやってもらえば、STEP2の理解の確認で済みます。
それでは、具体的に入試直前対策期に何をすればいいのか?
最初に、やらないといけないことは、「過去問の出題傾向の分析」「まずは、間違ったところの原因チェック」です。
1. 過去問を解く
過去問を解くには、大きく2つの理由があります。それは、
①現在の実力で何点取れるかという実力把握のためと
②出題される傾向を知るというものです。
まず、①の現在の実力で何点取れるかという実力把握のために、時間を計って解きましょう。まずは、最初に解いて今の力でどれだけ得点できるかをやってみます。
そして、次のように、その得点を表にしておきましょう。
次に、②の出題される傾向を知るために、もう一度問題をチェックしていきます。
大問は何問か?(1問にどれくらいの時間をかければいいのか)
どの分野から出題されているのか(どの分野を中心に勉強すればいいのか)
どういう形式か(記号か、記述式か、記述式なら何文字か…)
2. 短期間で得点をアップする施策を打つ
そして、ここからが本番です。まずは、良く出題されている分野から、以下の作業を行っていきます。
まずは、間違いつぶしです。それには、次のことをやっていきます。
間違っている中で大きく2つ分けます。
1つ目は、わかっているが出来なかった問題。あるいは忘れていた問題。
2つ目は、わからないし、出来ない問題
です。
それでまず、やるべきことは、最初の「わかっているが出来なかった問題と忘れていた問題をつぶすこと」です。ここで、大抵の受験生が犯す間違いは、この、「わかっているが出来なかった問題と忘れていた問題をつぶすこと」を軽く考えて、
「このときは、たまたまのミス。今度から気をつける。」
「ちょっと忘れていただけ…」
と意に介さず、逆に「わからない問題からやり直そうとする」ことです。もちろん、わからない問題をやることも必要ですが、最初にすべきことではありません。最初にすべきは、「わかっているが出来なかった問題をつぶす」
ことから始めなければなりません。入試では、
「わかっていても1点にもならない。解けない限り。」
という現実があります。ですから、まずは、「得点できるところを最初にしっかりと固めるべき」なのです。実際に過去問でも、「×」を分析すると、大きく4つに分かれます。
「×」を分析すると
1つ目は、わかるが、ミスした問題
2つ目は、わかるが、忘れていた問題
3つ目は、わからないが、教えられればわかるようになる問題
4つ目は、わからないし、教えられてもできるようになるのに時間のかかる問題
これらを受験本番に向けて、少ない時間と、少ない労力で得点するために、1つ目の「わかるがミスした問題からつぶすこと」から順にやっていくことです。次が「わかるが、忘れていた問題をつぶすこと」です。

ですから右の図表1のシートの過去問演習をした生徒は目標点を超えている
英語と国語は後回しにして、今すぐ解き直す問題は
数学・社会・理科を優先しています。
逆に右下の図表2のシートの過去問演習をした生徒は5教科ともに目標点を下回っているので全ての教科でわかっているが出来なかった問題と解法を忘れていた問題をピックアップして解き直しをする計画を立てています。
解き直しをしても不安が残る場合は、以前によく使っていた問題集をやるか、
さらに、以前使っていた問題集や参考書で確認しながら勉強していきます。
すると、以前、使っていた問題集で復習すると、授業で行っていた景色や情景が出てきて思い出しやすくなります。
本当に、このミスをつぶすこと、そしてその次の、わかるが忘れていた問題を解き直すことで思い出し、得点をアップさせることが大切です。
特に滑り止めに当たる私立試験は事前に調べれば合格ランクの合格得点はすぐにわかりますので、あなたのお子さんの公立第一志望校に合格するために私立試験でどのランクの合格が必要で、そのためには何点を獲得する必要があるのかは把握しておくことをお勧めします。
続く